ロックンロール戦線異常あり

好きなものをつらつらと

うかつに触ると怪我するぜ ヘッジホッグ

「女3人、21歳、ド直球バンド」


優しくしてくれるな 憐れんでくれるな
当たり前を私に当て嵌めるな

他人を突き放し、自分にも優しくなれない、そんなどこにも拠り所のない気持ちを一切包み隠さずぶちまけた曲。「いいね!」と「ふぁぼ」が飛び交い、どんな場でも他者と繋がることを求められるこの大共感時代に、ここまで孤独で愚直な歌が現れるとは。だがそもそも共感ってのは求められて生まれるもんじゃなく、自然発生するものだ。この曲からは共感を求めるどころか、むしろ「同情するなら金をくれ!」的な空気を感じるけど、飾らないバンドサウンドで吐き出される剥き出しの感情に、背中を押される人はきっといるだろう。ロックンロールは負の感情をカタルシスを伴う衝動に還元してくれる。

ヘッジホッグ、広島で結成されたスリーピースバンドである。冒頭に書いたのはこのバンドのキャッチコピーだが、あまりにもシンプルなこの三単語が全てであり、これ以上の説明は不要だ。聴け、聴いたら分かる。

ライブレポート:ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS) ひとり8

なぜかバイトのシフトが入ってなかったので行ってきた。

ライブの感想の前に、今回のライブ会場である「鑪ら場」について話したい。とにかくめっちゃ素敵な場所。キャパ40人程度でも天井が高いからか全く窮屈さを感じないライブスペース、間近で見られる1階席とゆったり見られる2階席、派手すぎず地味すぎずの丁度良い装飾、そして飯が超美味い。そこそこボリューミーな唐揚げが300円、人をダメにする空間だ…!
良い場所には良いお客さんが集まる。喫煙スペースでタバコ吸ってる若い女性はめっちゃ絵になってた、就活ミスったらここでバイトさせてもらおうかな…

気を取り直してライブ感想。素敵な空間で行われるライブはもちろん最高だった。アコギと歌だけで行われる2時間ちょっと、「ミュージシャン・ワタナベシンゴ」の底力にずっと魅せられていた
曲にまつわるエピソードを話しながら、丁寧にライブは進んでいく。売れないミュージシャンの苦悩をどっかで聞いたメロディに乗っけた『うたのおまわりさん』、バイト先での忘れられない出会いを歌った『ゆーちゃん』、もう会えない後輩に捧げた『思い馳せながら』、声が出なくなった頃に作った『ナトリウムランプ』、『札幌』『東京』という2つの故郷の曲、そして名曲『卒業証書』…彼の歌は彼がつけてきた人生の足跡そのものだ。自分の人生を歌に託して表現するその姿は、紛れもなく「生粋のミュージシャン」と言えるんじゃないかと思う。

そしてこれもライブ中に思ったんだけど、ワタナベシンゴさん、めっちゃ若い。俺より一回り近く年上のはずなのに、一緒にラーメンを食べたくなるような親近感。「好きなことに熱中してる間、人は歳をとらない」なんて話を聞いたことがあるけど、彼の中を流れる時間はバンドを始めた時点で止まってるのかもしんない、たぶん。

ライブ終わりの物販で、サークルでコピーしたことを恐る恐る伝えたらとても喜んでくれた。「また対バンしよう!」と笑顔で言ってくれた。決して順風満帆なバンド人生を送ってるわけじゃないだろうけど、これからどうなるかも分からないけど、それでも歌い続けてほしいなと、足跡を残し続けてほしいなと本気で思った。

5/12のワンマン、絶対行きます。

ブログ名変更

「ロックンロール徒然」から、今更ながら変えました

徒然してるのもあれなんで、戦線に飛び出していこうと思います。ロック界隈は常に予想外のことだらけです、だから「異常あり」。

いつ撃たれてぶっ殺されるか分かりませんが今後ともよろしくお願いします。

気まま楽曲レビュー:Mr.Children『未来』

生まれて初めて惚れた曲

小3、4?くらいの頃、ポカリスエットのCMに使われていたこの曲に、綾瀬はるかそっちのけで異様にハマり、親にCDをねだったのを覚えている。後日親が買って来たのが、この曲が入ったアルバム「I ♡U」。生まれて初めて触れたCDってのもあり、この作品には妙に思い入れがある。「ミスチルで好きなアルバムは?」と聞かれたら、これか「シフクノオト」だ。

今改めてこの曲を聴くと、ぶっちゃけ変な曲だなぁと思う。サビは爽やかだけど、Aメロ妙にごちゃごちゃしてるし、歌詞も「未来」なんてスケールのでかいタイトルの割には、凄くパーソナルなことを歌っていて、世界や人類のことより、自分のことに精一杯な感じがある。だからこそ共感できるんだろうけど。

女が運転する
車が止まって
「乗せてあげる」と言った

僕は感謝を告げて
車のドアを開いて
助手席に座って また礼を言う

しばらく走ると僕は
硬いシートに 居心地が悪くなって

女の話に相槌打つのも嫌になって
眠ったふりした

長々と引用したけど、この部分がホントに面白くて、やたら描写が具体的で桜井さんの実体験かなと感じるくらい。「未来」ってタイトルつけた曲に「女の車に乗った話」を組み込もうとする桜井さんの作詞のセンスよ。

自分を信じたなら ほら未来が動き出す

あーだこーだ言ってるけど、結局この曲って、「自分の未来は自分で変えていくもんなんだぜ!」ていう、めっちゃキャッチーなメッセージが核になってるんだよね。「女の車」の話も「他人のレールに乗っかっても居心地悪い」ってことの比喩表現と考えられるし。わかりやすいメッセージを最後に置いて、そこまでの道のりをちょっと捻くれた方法で表現した、桜井さんの才能が光る曲だと思う。無理にスケールを広げず、あくまで自分自身の未来ってところに対象を絞ってるからか、凄く説得力のある曲だなぁと、感じます。

気まま楽曲レビュー:ハヌマーン『ハイカラさんが通る』

踊れ文系男子

情景が浮かぶ曲が好きってのはもう何回も言ってんだけど、この曲もその部類だと思う。疾走感を保ったままひたすら突っ走ってる曲だけど、それに乗せて歌われる叙情的な歌詞がとにかくサイコーなのよ。

彼女は僕の知らない うるさい音楽に夢中さ

そもそも曲の主人公である「僕」と「彼女」の関係性はよくわからないけど、このフレーズだけで何となく、決して心理的な距離は近くないことが分かる。近くないどころか、「彼女」は「僕」と全く違う世界にいるのかもしれない。僕は彼女を見てるけど、彼女は僕を見ていない、その一方通行な視線が曲にどこか切なげな印象を与えている。

結局アウトロの語り(?)で「僕」と「彼女」は別々の道を歩いていく。だからこれは別れの歌、失恋の歌ともとれるんだけど、その割には全然悲観的じゃない。でもこの曲が終わった後の胸がぎゅっとなる寂しさはなんなんだ。夏の幻想に魅せられた一瞬を体感させてくれるような、確かな名曲。

公式の動画はないけど、個人的にはYouTubeに上がってるフリクリとのMAD動画がサイコーなので観てほしいってのがちょっとある…

気まま楽曲レビュー フジファブリック『陽炎』

陽炎が揺れてる

フジファブリック、初期の名曲。四季をコンセプトにした4枚のシングルの内、夏をテーマにした曲。少しずつ疾走感を増していく曲調と生活感のあるノスタルジックな歌詞が、夏の爽やかさと湿っぽさを同時に想起させる。サークルのライブで後輩がエモいMCの後にこれを演奏していて、グッときたなぁ…

あの街並 思い出したときに何故だか浮かんだ
英雄気取った 路地裏の僕がぼんやり見えたよ

ふと脳裏をよぎる「あの街並み」の光景、それをきっかけに次々と思い出される「あの頃の僕」の何気ない日々。回想はやがて現実の通り雨と重なり、サビが始まる瞬間一気に自分を現実に引き戻す。その瞬間溢れ出す懐かしさ、そしてもう戻れないという悲しみ、虚無感、様々な感情は複雑に混ざり合い、焦燥感となって「今の僕」を突き動かす。

陽炎が揺れてる

焦燥感の先にある、サビの最後のフレーズ。何気ない言葉だが、とめどない感情の氾濫にある種の区切りをつけるような、美しいフレーズだ。

ここまで割と勝手に自分なりの解釈を書いたが、正直それが正しいかどうかは分からないし、気にしたところでだ。ここではサビの時間軸を「現在」としたが、一方で過去の回想を抜けていないとも考えられる。更に言えば、1番サビと2番サビは時間軸が同じか、それとも…

過去と現在の間は曖昧に揺れ続ける、陽炎のように。

気まま楽曲レビュー the pillows『僕らのハレー彗星』

the pillows究極のラブソング、だと思う。

the pillows『僕らのハレー彗星』、原曲は2ndアルバム『WHITE INCARNATION』に収録。後にセルフカバーアルバム『TURN BACK』にて再録された。
一回聴いただけですぐに情景が目に浮かぶような、ロマンチックな曲。バスターズが結婚する際にはしばしばこの曲が使われてるそうな。

しかし結婚式で使われてるとはいえ、この曲は「永遠の愛」を安直に讃美した歌ではない。むしろ永遠の存在を真っ向から否定している

君も気がつけば 今のあどけない笑い方は忘れて
もしかしたら 僕だってこわれて歌えないかもしれないよ
回り続けてるこの星も いつか眠る日が来るさ

ハレー彗星が 僕らの前にまたその姿を現わす日まで
ずっと ずっと ずっと二人でいたいよ

君も僕もこの星も、いつか変わるだろう、永遠なんて存在しないという現実。だが無常であることを理解しながらも「君」と一緒にいたいという強烈な思いは、「ハレー彗星」に託されることでまるでそれが永遠に続くかのような甘い錯覚を聴き手に呼び起こす。切なくも力強い曲の世界を作り出すにおいて、ハレー彗星は夢と現実の架け橋となっているようだ。ちなみにハレー彗星の周期は75年、おおよそ人の一生である、つくづくにくいねぇ…

この曲と↑THE HIGH-LOWS↓の『千年メダル』のイメージは俺の中でなんとなくダブっている。永遠なんてないのはわかった上で「ずっと一緒にいたい」と願うのは身勝手かもしれない、でもそこに人間臭さというか、飾らない美しさを感じるんだよなぁ…完璧でないことを認めているからこそ、この2曲は俺の中で「完璧なラブソング」となってのかもなあと、思うのでした。