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ロックンロール徒然

独断と偏見による自己満音楽ブログ

今月購入予定のCDまとめ

10万越えのヒットがポンポン出てきて何かと最近CD業界が盛況だ。これによりCDが再び勢いを取り戻す…何てことはぶっちゃけ無いと思うけど、CD派の自分としてはCDの「物であること」の良さに気づいてくれる人が少しでも増えたら良いなーとは思う。とりあえず宇多田ヒカル誰か貸してください。

というわけで自分が今月購入予定のCDをまとめた「だけの」記事。今月は好きなミュージシャンがやたらと新譜を出すのでかつてないほどの出費になることが見込まれる。だが音楽好きにとってCDをたくさん買えるほど嬉しいことはないのだ…多分…

11/9発売
①ドミコ『soo coo?』

ギターボーカルとドラムの二人組ロックバンド、ドミコの1stフルアルバム。パンクサイケオルタナガレージといった様々なジャンルをぶち込んだ混沌とした音楽性が最大の魅力。彼らの生み出すゆる〜くどこかアダルトな雰囲気は滅茶苦茶中毒性がある。多分買ったらレビューします。

The Birthday『夢とバッハとカフェインと』

イントロから既に大人の色気が半端じゃないThe Birthday久々のシングル。イントロ終わりのベースソロだけで飯が進む。詞に関してもチバ節全開、彼の作り出す「どこまでも広がるコズミック」にグイグイ引き込まれていく。

③ビレッジマンズストア『正しい夜明け』

ビレッジマンズストア久々のミニアルバム。ボーカル水野ギイの演歌を思わせるコブシの効いた歌い方が好き。あとリード曲の歌詞に「鶴舞線」って出て来るのが地元愛を感じられて良き哉。

ポルカドットスティングレイ『骨抜き E.P.』

去年あたりから急に人気を上げ始めたロックバンド。どうしてもボーカルのエロさに目がいくが、曲も普通にかっこいいと思う。ただボーカルの存在感と推しが強すぎて他メンバーが自分のアイデンティティーを見失わないか心配。

11/16発売
シャムキャッツ『君の町にも雨は降るのかい?』

8月に出たシングルに次ぐシャムキャッツの5曲入りEP。個人的に今月1番楽しみな作品シャムキャッツの曲を聴いているとなんだか優しい気持ちになれるのだ。忙しなく日々を過ごす僕らの隣にそっと寄り添ってくれるそんな音楽。ジャケットは結構カオスだけどその微妙に外した感じが好きなんだよね。

⑥The PINBALLS『PLANET GO ROUND』

コンスタントにリリースを続けるThe PINBALLSのニューアルバム。リード曲『毒蛇のロックンロール』を始め曲名からどの曲も既にかっちょいい。ギラギラと不敵に輝くロックンロール魂を今作でも存分に見せつけてくれるはず。ちなみに先日このバンドコピーしました。

以上6枚!ひと月に6枚は貧乏学生にはなかなかハードだがどうにかします。実際のところこれ以外にも欲しいものがあったりなかったり…。ここに紹介したのは皆ノリに乗ってるミュージシャンばっかりなのでどの作品も期待値がめちゃ高い。この記事には載せなかったけどリード曲のMVがどの作品にも出ているので気に入ったら是非買ってみて欲しい(そして俺に貸してくれてもいいんだよ)

若者よ 甲斐バンドを聴け


平成生まれ、ギリギリゆとり世代には入らないピッチピチのハタチ、にゃまこです。さとり世代なんて言葉に甘んじるつもりはないのに、(主に恋愛面で)さとらざるを得ない状況に陥ってます、助けて。

平成生まれの人に尋ねたいのだが、あなたは今まで「昭和(主に1970〜80年代)の曲」に触れたことがあるだろうか。主に親の影響で、ある一曲が頭の中に残ったり、思い出の一曲になってることは割とあるかもしれない。ただ、曲単位ではなくミュージシャン単位で好きになることは割と少ないと思うユーミンとか中島みゆきとか、今でも大活躍してる人は別としてね。

昭和の曲は今の曲とは違う独特の魅力を持っていると僕は思っている。何処と無くアダルトな雰囲気だったり哀愁だったり渋さだったり。今からしたら暗い音楽とみられるのもまあ当たり前だとは思う。でも暗い曲=つまらない曲という認識は持たないで欲しいな。

本題に移ろう。昭和にもロックバンドはたくさんいた。有名どころだと日本語ロックの開拓者はっぴいえんどRCサクセション、シナロケとか。今回紹介したいのは70's80'sを代表するロックバンドの1つ甲斐バンドだ。


甲斐バンドの代表曲『裏切りの街角』、正直言ってド渋い。でもカッコいい。ゆったりとしたメロディやコーラス、甘い歌声からはフォークソング的な哀愁もムンムンに漂っている。

甲斐バンドは1974年にVo.甲斐よしひろを中心に結成したロックバンド。バンド名にボーカルの名前を使うってのがもう昭和って感じがする(偏見)。このパターンでいくとアレキは「川上バンド」、カナブーンは「谷口バンド」、ワンオクにいたっては「森バンド」。なにこれ。

ジェネレーションギャップは置いといて、男女のリアルな恋愛を描いた歌詞や甲斐よしひろの甘い歌声により当時はロックバンドとしてだけではなく、アイドル的な人気もあったようだ。ライブ音源を聴くと黄色い声援が目立つ。

彼らの魅力はなんつってもドラマティックな歌詞だ

走る車の 泥に叩かれ 見上げた時 街が泣いてた

発車のベル 叫び声の中 あの人は見えなくなった

『裏切りの街角』の一節。彼らの歌詞は情景描写のセンスが凄まじく、景色とともに曲の中の登場人物のリアルな感情が迫ってくる。4分程度の曲なのに、まるで火曜昼にトレンディドラマを観ているような、そんな感覚に陥る…内容が濃いってことね!

もひとつ彼らの面白いところはその音楽性の多彩さ。初めはフォークソングの要素を取り入れた曲中心だったんだけど、売れてくるとこんな感じで

勢いのある楽曲が増えてくる。なんか凄いとこでライブしてんな。

さらにはYMOが出てきた80年代前半辺りからは

打ち込みやシンセを用いた楽曲も登場、時代にうま〜く乗りながら続いていったバンドなのかもしれない。ちなみにこの曲の元々のボーカルはドラムの人。

http://youtu.be/bZRkWFK9_dw
個人的なお気に入りはこれ。淡々としたメロディとギターのヒリヒリする感じがたまらないんじゃ〜

1986年に一旦解散したものの、その後再結成。実は今もなんやかんやで活動している。まあすっかり甲斐よしひろの声はおっさんの渋カッコいい声になっちゃってるしソロ活動が先行して「甲斐よしひろと愉快な仲間たち」みたいな感じになってるのは否めないんだけど。

何かすごいおっさん臭い記事になってしまった。でも昭和のミュージシャンの曲には今にないアダルティックな魅力があったりする。古臭いとかいわないで聞いてみるのをお勧めする。

ライブレポート:シャムキャッツ@SOCIAL TOWER MARKET


人生ってめんどくさい。勉強、人間関係、サークル、恋愛、どれを取っても何かしらの心配事がある。その日も何となくもやもやしたことがあって、ちょっと重い気持ちを抱えながら栄へ。

でも一曲目が始まった瞬間、そんなことは全部ど〜〜でも良くなった。

ライブが始まる前、夏の名残であるかのように照りつけていた日差しも、ライブが進むにつれ少しずつ和らぎ涼しい風も吹いてきた。心地よい気候に乗っかって、Vo.夏目さんの透明感のある歌声、そして良い感じにリバーヴのかかったギターと安定感抜群のリズム隊の音色が時に優しく時に激しく混ざり合う。周りでは親子が楽しそうに曲に乗っていたり、若い女性が曲が始まる度に歓喜の声を上げたりそれぞれの楽しみ方をしている。そんな光景に俺はひたすら多幸感を感じていた。野外のライブってこんないいものなのか。

ちなみに個人的にはシャムキャッツの中ではベースの大塚さんこと「バンビ」が好きだ。理由は単に演奏する時にとにかくくねくね動いてて面白いから…笑。でも全身で音楽を感じようとしているのがすごくはっきりと感じられる。今日もめっちゃ楽しそうだった…もちろん他のメンバーも。

シャムキャッツの曲に歌われるのは、日常の何てことない風景だったり、そこに住む人たちの何てことない感情だったり会話だったり…強いメッセージ性があるわけじゃないけど、聴く人の日常にそっと寄り添い、小さな彩りを加えてくれる。今日やった新曲『洗濯物をとりこまなくちゃ』もまさにそんな感じの軽やかな楽曲で11月発売のCDが楽しみになった。そのCDのタイトルにもなっている《君の町にも雨は降るのかい?》という歌詞がとにかく好きだ。どこか詩的な雰囲気がする。

どうしてここにいたいのか たまに分からなくなるのさ 『PM5:00』

今日初めて聴いた曲で、ドキッとした一節。色んな時や場所にあって、ふと自分はなんでここにいるんだろう、ここにいたがるんだろうと思って不安になることがある。でも自分がそこにいるのはきっと何かしらの意味や必要性があるんだろう…そんな風に思えるようになりたいよな…なれたらいいな…

時間は短かったけど、本当に濃密なライブだった。好きな曲もいっぱい聴けて無料なのが申し訳ないくらい、間違いなく幸福な時間だった。毎日色々大変だけどどうにかやっていけるかもしんないという変な自信が湧いたし、今なら誰にでも優しくなれるような気もした。ぶっちゃけ今も凄く気分がスッキリしてる。12月のワンマンも楽しみだ。

無性にシャムキャッツを弾き語りたくなって夜遅くに『マイガール』のコードをちまちま採譜してたら親に隣に聴こえるからやめろと言われた…アパート住みは辛いね…

DOESの思い出


今年は人気バンドの活動再開だの活動休止だのが多い気がする。ミュージャンってのは経済面に限らずその人の精神面、肉体面でもなかなか不安定になりやすい仕事だと思うし、まあしょうがないのだけれど。
9月18日、今年でデビュー10周年を迎える人気バンドDOESが無期限活動休止期間に入った。発表された時は正直ちょっと驚いた…まさかこのタイミングで来るとは…何にせよDOESを知ったことによる自分への影響は結構大きい。そんな思い出話。

DOESを知ったきっかけは、多分僕も多くの人と同じだ。

そう、『曇天』である
僕が銀魂にハマったきっかけはギャグの面白さでも、キャラクターの魅力でもなくDOESのこの曲が始まりであった。「何このOPかっけえ!どんなアニメなんだろう……え?チ◯コ?……面白え!」て感じ。
そこから自分はDOESを積極的に聴き始めた。そんで聴けば聴くほど普通に銀魂の曲以外も名曲揃いじゃん!てことにも気付き始めた。


個人的なおすすめ曲。疾走感あるメロディに乗せていつか来る別れへの不安とそれでも一緒にいたいと思う一途な想いが歌われる切ない曲。巧みな風景描写による歌詞の美しさと、激しいギターサウンドや氏原さんの声が持つ泥臭さが作り出す絶妙なバランスがDOESの魅力の一つだと思う。シングルでMVもあると思うのだがようつべにはなかった…

DOESを知ったことによる自分への影響は割と大きい。今までスピッツとかミスチルくらいしか聴いてなかった自分が「ロックンロール」に傾倒していくきっかけとなったのが彼らだから。その後にthe pillows界隈を知ったことで僕はみるみるうちにロックンロールの沼にはまっていくのだが、多分pillowsやミッシェルを好きになるにあたってDOESが耳慣らしの役割を果たしたじゃないかと今となっては思う。

そしてDOESはバンドの厳しさも教えてくれた。売上げについてとやかくいうのは嫌いだが、DOESの、銀魂関連以外の作品は決してその質にあった売れ行きとはいえなかった。
「アニソンは時にそのバンドのイメージを固定化させちゃう問題」、彼らはそれを如実に示したといえる。アニメの主題歌でヒットしたが、そこからみるみるうちに消滅…とまでは行かなかったものの、「アニソンバンド」という看板(というか呪い)は常に彼らの肩に重くのしかかっていたに違いない。最終的に開き直ることができたのがせめてもの救いだが、バンドの人気を維持する難しさを痛感したのはDOESが最初だ。

ああそうだ、これも言っとかなきゃあ…
僕が初めて「自分でチケットを買って」「ライブハウスで見た」ライブはDOESだった。もう一年以上前だし、その後たくさん良いライブを見てきたから記憶は薄れているが始まる前の緊張感や始まってからの半端ない熱量、観客の歓声、爆音、その全てを叩き込んでくれたのがこのライブだったのは間違いない。そのときのチケットはぐしゃぐしゃになったまま、机の引き出しにしまってある。今思えば今回のツアーも行くべきだったとちょっと後悔。

今回の活休についてはメンバー全員が、あくまで前向きな活休でありまた戻ってくるとも言ってくれた。ファンとしてはその言葉を信じるのが今は賢明だろう。やることをやりきってしっかりファンに感謝して身を引く…立つ鳥跡を濁さずの精神、流石だ
彼らがそれぞれで活躍してくれること、そしていつかまた3人で泥臭いロックを鳴らしてくれることを心より願っております。

ディスクレビュー:クリープハイプ「世界観」後編


ラストスパート!

M11:誰かが吐いた唾が キラキラ輝いてる
アコギをジャガジャガかき鳴らしながら歌われるブルース。肩の力を抜いて純粋に尾崎さんが見たものや思ったことを書いているような印象を受け、先の見えない暗闇の中でわずかな幸せを探し続けていたインディーズ時代の尾崎さんの姿が浮かんでくる。メジャーデビューして人気が出ると中々こういう曲は作りにくくなる気がする。

M12:愛の点滅

シングル曲。リリースされた当初はあまり印象に残らず、「これがシングルか〜」くらいの気持ちでいたけれどアルバムに入って聴いてみると爽やかながらどこか切ない雰囲気や、人の気持ちを信号に例えた上手い歌詞が結構心に響き、今はお気に入りの1曲。
《頭の中では分かってるんだけど赤でも待ちきれなくなって行ってしまうのに どうして青なら安心してしまって大事なことも言えなくなるんだろう》
「わかるーー!」というのが正直な感想。恋愛の難しさ、人の気持ちの複雑さをうまく表現してると思う。ちなみに俺の心はいつでも青信号だぜ!イェア!

M13:リバーシブルー

ひたすら《会いたくない》と繰り返しておいて最後に《そんな気持ちとは真逆の気持ち》と締めるという捻くれっぷり溢れるナンバー。AメロBメロではひたすら「上手く歩けない」自分自身に対するもどかしさが綴られており、爽やかながらどこか鬱屈した雰囲気も漂う曲である。夏が嫌いな身としては、夏の面影を追いかけて1人彷徨っているようなこの曲の歌詞が妙にしっくりくる。

M14:バンド
ラスト曲。尾崎さんがバンドに対する思いを素直に、でもちょっと捻くれた言葉で吐き出した確かな名曲。歌にすることでしか気持ちを伝えられないと自分を嘲笑しつつもあくまで正直にバンドへの愛を伝えようとする尾崎さんの不器用な姿に胸が熱くなる。最終サビ前のアカペラから始まる部分は鳥肌モノ。アウトロの男臭いコーラスも決して美しいものではないが、クリープハイプがこれからもこの4人で歩き続けるという強い意志を感じ、不思議と安心できる曲だ

総評
以上、全14曲。曲調や歌詞についてはこのレビューと同じくほとんど統一性のない、ぐっちゃぐっちゃのアルバムだが、その混沌とした感じがクリープハイプらしさを生み出していると思う。前作が良くも悪くも「良い曲」揃いだったのに比べると今作は、初期にあったかさぶたを弄るようなヒリヒリ感と、前作まであった寄り添うような優しさが遠すぎず近すぎずの距離でうまく共存できてるアルバムだ。長年応援してきた人も最近好きになった人も是非この作品でクリープハイプの、そして尾崎世界観「世界観」に触れてみてほしい。

…そうそう、特典映像のショート短編映画もなかなか見応えがあった。椎木さんの演技には本業の俳優さんには出せない生々しさがあってかなり魅力的だったよ。

ディスクレビュー:クリープハイプ「世界観」中編


続き

M6:TRUE LOVE
まさかのラップ、しかも本物のラッパーとコラボするほどの徹底ぶり。尾崎さんパートが割と分かりやすい言葉選びをしてるのに対し、ラッパー(チプルソさん)のパートは「これ即興で作ったのか!?」と思うくらい意味不明(でも本業者というだけあってめちゃくちゃ上手い)。不倫がテーマになってたり「おとといこいよ黒い」という言葉が出てきたりこれ完全にアレですよね
《one love two love three love 言葉のアヤだよTRUE LOVE》
「TRUE LOVE」=真の愛と聞くとどこか胡散臭さを感じる人もいるだろうが、この曲はあえて「言葉のアヤだよ」と前につけることで曲中で歌われる不倫という行為に対し胡散臭さを残したまま誤魔化しをはかっているように見える。ニヤニヤしながら舌を出している尾崎さんの顔が浮かぶ。「two love three love」からの「TRUE LOVE」とちゃっかり韻を踏んじゃってるのもニクイ。

チプルソさんの曲

M7:5%
ラップに続いて打ち込みのナンバー。これまでも打ち込みを用いた楽曲はあったが、ここまで徹底的に打ち込みをメインにした曲は初めてだと思う。派手さこそ全くないが優しく寄り添うような歌詞と淡々としたメロディが相まって静かな夜にあの娘のことを考えて一杯やりながら聴きたい曲。《僕の気持ちは一番搾りでも 君はいつもスーパードライで》は名フレーズ。

M8:けだものだもの
前作に「そういえば今日から化物になった」という曲があったが、それとは全く異なる曲。めちゃくちゃ歪みのかかったギターに合わせて、比喩とかではなく実際に目が10個口が20個の怪物である自分自身をひたすら嘆いており全体的に病んでおり全く救いがない。「人間見た目よりも内面が大事」という言葉に対するアンチテーゼをめちゃくちゃ大袈裟に表現した曲ともいえるかも。救いの手を握りつぶした挙句《死んでね》という歌詞で締めるのが結構キツイ。

M9:キャンバスライフ
ベースの長谷川カオナシが作った曲。絵が描けることへの憧れを歌った歌だが、いろいろと引っかかる。
《いいな いいな 絵が描けたら 表現力と説得力があるんだから》
この曲において、絵を描けるということは絶対的な力となっている。なぜかというと、表現力と説得力を持っているかららしい。一方で自分の書く歌詞では、その情景を直接伝えることができないとしている。この曲を聴いて気になるのは、カオナシさん自身が歌詞を作ることに意味を見出せなくなっているのではないかということだ。今までカオナシさんは、尾崎世界観が作る歌詞よりもどこか現実離れしたファンタジックな歌詞を多く書いてきた。しかしどんな情景でも文字にしてしまうと自分が本当に伝えたいことが真っ直ぐ伝わらない。そんなもどかしさがこの曲の背景に見られる。
《いいな いいな 魔法使いだな 分かってもらえるんだから》
この曲においてカオナシさんは「分かってもらう」ことに執拗なこだわりを見せている。このアルバムにおいて尾崎さんの苦悩がクローズアップされている印象を持つが、彼も彼なりに表現者として悩んでいるのだろう。個人的にはカオナシさんの書く歌詞は文字だけで情景を映し出せるだけの魅力があると思うけどなあ…。

M10:テレビサイズ(TV Size2'30)
現在テレビに出て歌うことにおいて曲をある程度縮めることは当たり前に行われているが、そこに噛み付いた結構過激な曲。タイアップ曲が多い中あえてこの曲を歌うことを選んだ尾崎さんの捻くれっぷりよ…。久しぶりにキレた尾崎さんが見られて安心した。個人的には是非この曲を実際にテレビで歌ってほしいが多分歌ったらもう二度とテレビに呼ばれなくなるだろう。

あと4曲!続きは次回!

ディスクレビュー:クリープハイプ「世界観」前編

数ヶ月前、クリープハイプの新アルバム「世界観」のジャケット及び曲目を見たときのバカ正直な感想としてはただただ「なんじゃこれ」だった。ジャケットはダサいし曲はなんか今までに無いようなタイトルが多いし…「TRUE LOVE」って何だよ!頭の片隅で「このまま解散すんのかな…」みたいな邪念も頭をよぎったのもぶっちゃけ事実、だったんだけど…

…まあ杞憂でしたね、うん、このアルバム、最高傑作だと思う。今までのクリープハイプの歩みを全部受け止めた上で新しいクリープハイプを創り上げようとする姿勢、決意にただただ脱帽した。発売日は合宿中だったからずっとうずうずしてて、合宿が終わった瞬間疲れた体を引きずり買いに行った。駅のコインロッカー代の500円なんてくれてやんよ!

というわけで今回も全曲レビューという形でやります。ネタバレが嫌な人は気をつけてね!

M1:手
メジャー1stに入ってる人気曲「手と手」の続編らしい。『「手と手」が離れて「手」になった』という悲しい歌。考えてみるとクリープハイプのアルバムはほとんどが別れの歌から始まってる気がするけど、どの曲も全然違う角度や視点から描かれていて面白いんだよな。ひたすら同じ言葉を繰り返すサビは曲の疾走感も合わさって痛々しいほどのキャッチーさがある、これぞクリープハイプ!な一曲。《馬鹿はあたしだな》と自分を責めまくる終盤は正直ホントにイタイ!でもその苦しさが愛おしい…

M2:破花

シングル曲。イントロのツインギターの絡みは何度聴いても独特な魅力を感じる。塾のCM曲だったけどぶっちゃけ受験生応援歌と捉えるにはかなり歪な応援歌だと思う。そもそもこの曲、他人に向けてというよりは尾崎さん自身に向かって歌っているような気がしてならない、というか実際そうなんだろう。「受験生へのメッセージ」と「表現者としての苦悩」という一見噛み合わなさそうな二つの要素をうまく組み合わせた名曲。《疑うことで何か始まる 信じる者は足を掬われる》という歌詞は捻くれているように見えるけど今の混沌とした時代の核心を突いてると思う
「動き出した君の歴史 いつも今日に答えがあるから」
どんなに苦しくても進むしか無い 表現者としての強い意思表示を感じる曲。

M3:アイニー
境界のRINNE」のOP。原作を読んで作ったとは言ってたけど厳密に言うと「内容に沿った作品」では無い。簡単に言うと、メタ的な曲。もっと簡単に言うと二次オタの歌。漫画のキャラに恋する人を主人公にして曲書くか普通?でも《あなたと私は次元が違うからきっと分かり合えない》と歌われているにも関わらず次元が違う人=二次元の人に愛を求める友達は結構いるので、彼らには是非この曲を捧げたい。絶対に実らない恋が優しいメロディに乗せて歌われる、切ない名曲
《いつか超えて会いに来てね待ってる》
最後の歌詞。普通の恋では無いはずなのに凄い純愛性を感じるのは何故だろう…

M4:僕は君の答えになりたいな
初めにタイトルだけ見た時、「back nunber?」と感じた。前作の空気を引き摺った優しげな曲。「問題」とか「足したり引いたり」とか出てきてるからこの曲も塾CMのタイアップ候補だったのかな?強い存在感があるわけでは無いけどサビは妙に耳につく。
《僕は君の答えになりたいな ずっと考えてあげる》
あれ?この歌詞「ずっと考える」のは誰なんだ?「僕」が考えるのか?答えを出すのは「君」だから考えるのは「君」じゃないの?
…君の答えになれるようにずっと僕は君のことを考えてあげるってことなのかな?だとしたら何か凄い健気な曲だな…。

M5:鬼


シングル曲だけどイントロアウトロのファルセットといいどこか官能的な雰囲気といいMVの謎ダンスといい、中々奇抜な怪作。アイニーと違ってこっちはタイアップ先の「内容に合わせた」歌詞になってるのかな?(ドラマ観てない)。歌詞にあるアイデンティティーの崩壊をMVでは「俳優が演技と現実の境を見失う」というやり方で表現しており、上手いな〜と感心。今までに無いような曲だけど、《つかの間の休息 津田沼の六畳間で》って歌詞からはクリープらしい生々しい生活感が出てて好き

続きは次回!