ロックンロール徒然

独断と偏見による自己満音楽ブログ

ディスクレビュー:クリープハイプ「世界観」中編


続き

M6:TRUE LOVE
まさかのラップ、しかも本物のラッパーとコラボするほどの徹底ぶり。尾崎さんパートが割と分かりやすい言葉選びをしてるのに対し、ラッパー(チプルソさん)のパートは「これ即興で作ったのか!?」と思うくらい意味不明(でも本業者というだけあってめちゃくちゃ上手い)。不倫がテーマになってたり「おとといこいよ黒い」という言葉が出てきたりこれ完全にアレですよね
《one love two love three love 言葉のアヤだよTRUE LOVE》
「TRUE LOVE」=真の愛と聞くとどこか胡散臭さを感じる人もいるだろうが、この曲はあえて「言葉のアヤだよ」と前につけることで曲中で歌われる不倫という行為に対し胡散臭さを残したまま誤魔化しをはかっているように見える。ニヤニヤしながら舌を出している尾崎さんの顔が浮かぶ。「two love three love」からの「TRUE LOVE」とちゃっかり韻を踏んじゃってるのもニクイ。

チプルソさんの曲

M7:5%
ラップに続いて打ち込みのナンバー。これまでも打ち込みを用いた楽曲はあったが、ここまで徹底的に打ち込みをメインにした曲は初めてだと思う。派手さこそ全くないが優しく寄り添うような歌詞と淡々としたメロディが相まって静かな夜にあの娘のことを考えて一杯やりながら聴きたい曲。《僕の気持ちは一番搾りでも 君はいつもスーパードライで》は名フレーズ。

M8:けだものだもの
前作に「そういえば今日から化物になった」という曲があったが、それとは全く異なる曲。めちゃくちゃ歪みのかかったギターに合わせて、比喩とかではなく実際に目が10個口が20個の怪物である自分自身をひたすら嘆いており全体的に病んでおり全く救いがない。「人間見た目よりも内面が大事」という言葉に対するアンチテーゼをめちゃくちゃ大袈裟に表現した曲ともいえるかも。救いの手を握りつぶした挙句《死んでね》という歌詞で締めるのが結構キツイ。

M9:キャンバスライフ
ベースの長谷川カオナシが作った曲。絵が描けることへの憧れを歌った歌だが、いろいろと引っかかる。
《いいな いいな 絵が描けたら 表現力と説得力があるんだから》
この曲において、絵を描けるということは絶対的な力となっている。なぜかというと、表現力と説得力を持っているかららしい。一方で自分の書く歌詞では、その情景を直接伝えることができないとしている。この曲を聴いて気になるのは、カオナシさん自身が歌詞を作ることに意味を見出せなくなっているのではないかということだ。今までカオナシさんは、尾崎世界観が作る歌詞よりもどこか現実離れしたファンタジックな歌詞を多く書いてきた。しかしどんな情景でも文字にしてしまうと自分が本当に伝えたいことが真っ直ぐ伝わらない。そんなもどかしさがこの曲の背景に見られる。
《いいな いいな 魔法使いだな 分かってもらえるんだから》
この曲においてカオナシさんは「分かってもらう」ことに執拗なこだわりを見せている。このアルバムにおいて尾崎さんの苦悩がクローズアップされている印象を持つが、彼も彼なりに表現者として悩んでいるのだろう。個人的にはカオナシさんの書く歌詞は文字だけで情景を映し出せるだけの魅力があると思うけどなあ…。

M10:テレビサイズ(TV Size2'30)
現在テレビに出て歌うことにおいて曲をある程度縮めることは当たり前に行われているが、そこに噛み付いた結構過激な曲。タイアップ曲が多い中あえてこの曲を歌うことを選んだ尾崎さんの捻くれっぷりよ…。久しぶりにキレた尾崎さんが見られて安心した。個人的には是非この曲を実際にテレビで歌ってほしいが多分歌ったらもう二度とテレビに呼ばれなくなるだろう。

あと4曲!続きは次回!