ロックンロール戦線異常あり

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気まま楽曲レビュー the pillows『僕らのハレー彗星』

the pillows究極のラブソング、だと思う。

the pillows『僕らのハレー彗星』、原曲は2ndアルバム『WHITE INCARNATION』に収録。後にセルフカバーアルバム『TURN BACK』にて再録された。
一回聴いただけですぐに情景が目に浮かぶような、ロマンチックな曲。バスターズが結婚する際にはしばしばこの曲が使われてるそうな。

しかし結婚式で使われてるとはいえ、この曲は「永遠の愛」を安直に讃美した歌ではない。むしろ永遠の存在を真っ向から否定している

君も気がつけば 今のあどけない笑い方は忘れて
もしかしたら 僕だってこわれて歌えないかもしれないよ
回り続けてるこの星も いつか眠る日が来るさ

ハレー彗星が 僕らの前にまたその姿を現わす日まで
ずっと ずっと ずっと二人でいたいよ

君も僕もこの星も、いつか変わるだろう、永遠なんて存在しないという現実。だが無常であることを理解しながらも「君」と一緒にいたいという強烈な思いは、「ハレー彗星」に託されることでまるでそれが永遠に続くかのような甘い錯覚を聴き手に呼び起こす。切なくも力強い曲の世界を作り出すにおいて、ハレー彗星は夢と現実の架け橋となっているようだ。ちなみにハレー彗星の周期は75年、おおよそ人の一生である、つくづくにくいねぇ…

この曲と↑THE HIGH-LOWS↓の『千年メダル』のイメージは俺の中でなんとなくダブっている。永遠なんてないのはわかった上で「ずっと一緒にいたい」と願うのは身勝手かもしれない、でもそこに人間臭さというか、飾らない美しさを感じるんだよなぁ…完璧でないことを認めているからこそ、この2曲は俺の中で「完璧なラブソング」となってのかもなあと、思うのでした。