ロックンロール戦線異常あり

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ドラえもんより1ミリ低い、地球から2ミリ浮いてる人たち

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地球から2ミリ浮いてる人たち

このバンド名を見た時、ハッとした。自分が好きな音楽の特徴を、不意に言い当てられたような気がしたからだ。

 


地球から2ミリ浮いてる人たち / 君の街まで (Audio)

 

地球から2ミリ浮いている、日常にどこか懐かしくてお洒落を作る、オルタナポップバンド

(YouTube概要欄より)

 

2ミリ浮くことによるメリットはどのくらいあるのだろう。土や雑草の肌触りは伝わってくるだろうし、画鋲だって普通に刺さる。2ミリ浮いた程度では僕らは現実との関係を断つことはできない。

じゃあ無意味かというと、全然そんなことはない。「土足で人の家にいるのは汚いのではないか」そんなクレームがあって、ドラえもんは常に地上から3ミリ浮いているという設定になったように、微かに浮くことで避けられる汚れや痛みもあるのだ。ただもしこれが10cmだったら、何となくドラえもんの存在はのび太の日常から浮いた存在になると思う。3ミリというひとめではわからないわずかな数字だからこそ、ドラえもんはのび太の日常に溶け込み、彼の成長を一緒に喜んであげられている。

そう考えると3ミリという数字は、現実を踏みしめつつ小さな心の余裕を持てる絶妙な距離なのかもしれない。そしてそこからさらに1ミリ低いところにいる彼女達は、その分僕らにより近い場所にいてくれている。そのわずかな距離感こそが、僕が好きな音楽に求めているものの一つなのかもしれないと感じるのだ。

 

さて、そんな彼女達は結成してまだ1年にも満たない京都発の新星。カネコアヤノを彷彿とさせる伸びやかな歌声、そして時にブルージーに、時にポップに奏でられるリードギターが引っ張るバンドサウンドが心地よい。

今日だけは夢の中 朝ごはんの匂いがするけれど

今日だけはいつもよりも長く眠っていたいの

 (Easy Life)

日常の景色を想起させながら、そこに少しだけぼかしフィルターをかけるような歌詞は、現実から引き離すほどのパワーはないが、日々の喧騒のボリュームをほんの少し下げてくれるような安心感がある。彼女達の歌は、聴いた人を自分たちと同じように地球から2ミリ浮かせてくれる。

 


1st EP 「アメリカンドリーム」トレーラー

 

関西のインディーロックシーンは、彼女達のような「日常に疲れた人のためのオアシス」になれるバンドが多いように感じる。浪漫革命やEasycomeフリージアンなどなど…まだまだ深掘りのしがいがありそうだ。

 

アメリカンドリーム - EP

アメリカンドリーム - EP

  • 地球から2ミリ浮いてる人たち
  • J-Pop
  • ¥1069